スコットランドの石の話

    
 スコットランドの古い町には石造りの建物が多く残っていますが、町によって主として使われている石の種類が異なっていることがあり、また、その石の色合いの違いのため、町の印象が異なって感じられることがあります。スコットランド中央部には、ベージュ色の砂岩を使った町が多いですが、中には赤色の砂岩の建物が多い町や、花崗岩を多用しているため、町全体が灰色の印象を与えるアバディーンのような町もあります。
 また、スコットランドは、鉱物学的観点から見ても興味深い石が多く産出しています。例えば、ストロンチウムという元素の名前のもとになったストロンチアナイト(strontianite)は、ハイランドにあるストロンチアンという村の近くで発見されたものですし、煙水晶の産地であるインバネス近くのケアンゴーム(Cairngorm)は、地名そのものが煙水晶の代名詞にもなっています。
   
スコットランド産
ストロンチアナイトの標本


   さらに、ラナークシャーとダンフリーズシャーの境界近くにあるレッドヒルズ(Leadhills)やワンロックヘッド(Wanlockhead)といった鉱山からは、多くの新種の鉱物が見つかっています。その中には、スコットランドの旧国名であるカレドニアにちなんだカレドナイト(Caledonite)や、ラナークシャーの名に由来するラナーカイト(Lanarkite)というものもあります。特に、カレドナイトは、青色の美しい鉱物です。スコットランダイト(Scotlandite)なんていう名前が付けられた鉱物もあります。
   
2010年2月1日