たかが1ポンド、されど1ポンド


 以前のページでもご紹介したように、スコットランドにある3つの銀行は独自に紙幣を発行しています。それらの銀行のうちの一つ、「The Royal Bank of Scotland」は、イングランドでは既に発行されなくなった1ポンド紙幣を今でも発行しています。


 この銀行のお札はお城シリーズで、1ポンド紙幣の裏面にはエディンバラ城の絵が描かれています。ところがある日、うちのかみさんと一緒に仕事をしている人が、偶然1999年のスコットランド議会発足を祝う1ポンド記念紙幣を手に入れたといって、見せてくれました。「それ、使ってしまうの?」と尋ねたら、「うん、そのつもりだよ」との事でしたので、普通の1ポンド紙幣と交換してもらいました。
 この記念紙幣、表の左下にはスコットランドの国旗(青地に白の X 印)があしらわれていて、裏面にはエディンバラにある仮議事堂の絵が描かれており、なかなかいいデザインです。私の周りのスコットランド人に「こんな紙幣知っている?」と尋ねてみましたが、誰も知りませんでした。もともと発行枚数があまり多くない1ポンド紙幣の中の記念紙幣ですから、町中にはあまり出回っていないんだろうとのことでした。


 さて、スコットランドの銀行は紙幣を発行しているものの、貨幣は発行していないので、貨幣はイングランドと共通のものが流通しています。1ポンドのコインもたくさん出回っていて、紙幣よりも普通に見ることができます。
 ところがこの1ポンドコイン、年によってデザインが変わります。具体的には、連合王国を形成する4つの国を象徴する図柄と連合王国の紋章が順番にデザインされます。ですから、スコットランドに関するデザインの1ポンドコインも5年に一度発行されます。例えば、1989年のコインには、スコットランドの国花であるアザミがデザインされていますし、1994年のコインにはスコットランドの紋章である獅子が描かれています。また、反対の面の女王様のお顔も年齢に相応しく変化していて、ここ20年くらいの間に3種類の顔のバージョンがあります。
 さらに、コインの側面に書かれた文字にもいくつかのバージョンがあります。その上、時々特殊なデザインのコインも発行されていて、たとえば、マン島のシンボルである3本足の神様の図柄のものも見かけました。
 というわけで、コイン好きの人にとっては興味の尽きない国といえるでしょう。



2003年5月24日