1948年に国有化されるまで、英国には複数の鉄道会社が存在していました。それらは民間の会社ゆえ旅客の誘致に熱心で、観光客をターゲットにしたポスターも多く作られました。 特に、LMS (ロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道)やLNER(ロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道)の依頼でノーマン・ウィルキンソンが描いたポスターは、非常に美しく芸術的価値の高いものです。世界最大の鉄道博物館と言われるヨークの国立鉄道博物館には、彼の手による多くのポスターが所蔵されており、その中からスコットランドの風景を題材にした24枚が絵はがきになっています。
|
![]()
|
ポスターの題材は、ハイランドの荒涼とした風景や、黄昏時のベンモア、廃墟になった修道院やクライド湾の造船所など多岐にわたっています。いずれのポスターも、現在の感覚で見ても古さを感じさせず、中にはむしろ新鮮さを感じさせる物もあります。 また、現在のスコットランドの主要な観光地が、これらのポスターが制作された20世紀前半にすでに観光地であったこと、そしてその景観がほとんど変わっていないことなどが分かり、大変興味深いです。 |