かつてはスコットランド中に路線網が張り巡らされていて、鉄道が公共交通機関の主役だった時代もありましたが、1950-60年代にその多くが廃線となってしまい、今ではすっかり脇役的存在です。
けれども近年鉄道の良さが再認識されてきて、新線の建設や廃線となった路線の復活計画などがマスメディアでもしばしば取り上げられるようになってきました。ただ、これらの計画の中にはどう見ても採算が合いそうにないものや、Glasgow - Edinburgh間にリニアモーターカーを走らせようといったいつ実現するか見当のつかないものもあって、いつのまにか立ち消えになったものも少なくありません。
そんな折、「モダン レールウェイズ」という鉄道雑誌の2007年10月号で、スコットランドの鉄道の将来に関する特集記事が組まれていたので、ここで簡単にご紹介します。
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現在具体的にプロジェクトが進行しているのは4路線です。 まずは、グラスゴー空港乗り入れ線(GARL; Glasgow Airport Rail Link)。Paisleyから空港までの新線建設と、Paisley - Glasgow Central駅間の既存線の改良によって、空港と市中心部を16分で結ぼうというもの。2012年開業予定で、開業時の1時間あたりの本数は上下各4本を予定しているそうです。これができると今はもっぱらバスしかない空港へのアクセスがぐっと便利になりそうですね。 |
2番目はエジンバラ トラム。Princes StreetやOcean Terminalを通る市内環状線と、そこから分岐してエジンバラ空港にリンクする枝線からなります。
エジンバラ空港についてはフル規格の鉄道の建設計画もあったのですが、既存線に接続するには滑走路の下にトンネルを通す必要がありコストが膨大になることから、トラムの敷設で代替されることになったようです。なお、Princes Streetなどのバス停には将来のトラム導入を見据えて自動チケット販売機の設置が始まっています。
次は、「ボーダーズ レールリンク」。これはかつての廃線跡を利用してEdinburghとボーダーズ地方のGalashiels方面を結ぶもの。Edinburgh南部の住宅地近くを通ることから、通勤路線としての役割も期待されています。ただ、Edinburgh市内を抜けた後は人口密度の低い地域が続くので採算が疑問視され、実際に建設されるかどうかは微妙です。
最後はAirdrieとBathgateを結ぶ A - B プロジェクト。これも廃線跡の再利用です。Glasgow - Airdrie間および Bathgate - Edinburgh間は廃線を免れて現在も営業運転が行われていることから、この路線ができるとGlasgowとEdinburghの間で直通運転が行われる予定です。
また、この線路はGlasgowのさらに西方へと伸びているので、開通後はEdinburghからLoch LomondのほとりのBallochやHelensburgh方面への直通列車も運行されるようです。2010年12月の工事完了を目指して、現在は既存路線の単線部分の複線化工事などが始まっています。