フォート オーガスタスは、ハイランド地方の中心インバネスの南西約50km、ちょうどネス湖の一番端の所にある町です。カレドニアン運河(caledonian canal)という、ブリテン島を横断する運河がこの町を通っています。
カレドニアン運河は、スコットランド東岸のインバネスから西海岸の入江の奥にあるフォート ウイリアム付近までの、全長約100 km の運河です。もっとも、そのうち6割くらいはネス湖等の湖を利用しているので、実際に運河として作られた部分は40 km 弱です。途中にある湖は水面の高さが異なるため、運河に水門を設けて水位を上げ下げすることにより、船舶の運航を可能にしています。フォート オーガスタスでは、その様子を間近で見ることができます。
この運河ができたのは、1822年。当時のお金で84万ポンドという巨費と17年におよぶ歳月をかけて建設されました。この運河のおかげで、ハイランドの西側と東側が直結され、それまでのブリテン島の北側を迂回していた航路と比べ、大幅な時間の短縮と航海の安全性の向上が実現されました。また、インバネスまでの鉄道が開通するまでは、この運河が、グラスゴーとインバネスを結ぶ最短のルートの一部として使われていました。
フォート オーガスタスは、ネス湖めぐりの観光ルートの一部になっているためでしょうか、何軒ものお土産物やさんがあって、バスを連ねて観光客の団体さんが大勢やって来ていました。ヘブリディーズの帰りにこの町に立ち寄った時には、「あー、俗世間に戻って来たんだなー」という印象を受けましたが、それはそれでいろいろと楽しめるお店があっていいものです。私たちがひと休みした喫茶店兼バーの様なお店には、スコットランドの地ビールの一つ、「ワイルドキャット」が置いてありました。