迷子の年賀状
一月ももうそろそろ終わりというある日、日本に住んでいる友人から一通の年賀状が届きました。表には郵便局によって書かれたと思われる英語の文章が貼られていたので、以前住んでいたところ宛てに出された年賀状が新しい住所に転送されてきたのかなと、思いました。けれども、差出人の友人はとても几帳面な人で例年ならお正月のころにちゃんと年賀状をくれるので、同じ町内での転送に1ヶ月近くもかかるなんてこちらの郵便局も困ったものだなー、と思っていたんですが、事実は違っていました。
はがきに貼られた英文を読んでみると、「このはがきには、差出人の住所と宛先の住所が反対の位置に書かれています。ですから、こちらに書かれているイギリス内の住所に配達してください。」と書かれていました。差出人の住所と宛先の住所が反対の位置に書かれているとは、どうして私の友人はそんな書き方をしたのでしょうか?
もうお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の葉書を横にして宛先と自分の住所をそれぞれ本来の位置に書くと、下の図のように左上に宛先を、右下に自分の住所を書くことになります。ところが英国などでの一般的な住所の書き方では、左上に自分の住所、中央付近に相手の住所氏名を書きます。ですから、このような表書きをすると、差出人の所へ配達されるおそれがあるというわけです。今回の場合、宛先の住所の前には「To:」が、差出人の前には「From:」がちゃんと付いていた上に、文字の大きさも宛先の方が大きかったにもかかわらず、英国の郵便屋さんはこの葉書は日本に向けて出されたものと判断して、日本の郵便局に送り返してしまったようです。そして、この葉書は英国宛であることに気が付いた日本の郵便局の人が、上記のような英文を添付してくれたのだと思われます。というわけで、この年賀状は一ヶ月ほどかけて日本と英国の間を一往復半した後に、やっと私の所に配達されてきたようです。
友人から来た年賀状(左)と、英国の一般的な宛名の記入例(右)
確かにもし日本国内で、宛先が書かれるべき位置に小さな文字で「○○市の××より」と書かれ、自分の住所を書く位置にそれよりも大きな文字で「△△町の●●さんへ」と書かれた葉書があったら、配達する人はとまどうだろうなー、なんて心をめぐらした一日でした。
2005年2月19日