誕生日とスコーン


 こちらの人たちは、男の人も女の人も、年を取るということを決して隠すような事ではなく、また、いやだと感じているようでもありません。むしろ、それだけ人間が成長したことを喜び、誇りにしているようにさえ感じられます。ですから、誕生日を迎えた人は、自分でケーキを焼いて会社に持ってきたりして、お茶の時間に、「今日は私の誕生日なの。ケーキ焼いてきたからみんなで食べましょうよ。」「まあ、おめでとう。やったー、ケーキが食べられるぅ。」といった感じで、みんなで暖かく祝福してくれます。


 で、私も誕生日に何か作って持っていこうと思い立ったものの、人様に食べていただくほどのケーキを作れるわけでもなし、いろいろと考えた末、スコーンを焼いて持っていくことにしました。スコーンというのは、小麦粉に砂糖や牛乳を混ぜてオーブンで焼いた、こちらの伝統的なお菓子です。研究所の人によると「あ、スコーンね。とても簡単に作れるよ。30分くらいでできるよ。」との事でしたし、念のためホームページで作り方を探してみると、確かに簡単そうに見えましたので、軽い気持ちで作り始めました。


 ‥‥‥小麦粉に塩をひとつまみ入れて、バターを入れてこねていく。うん、なかなかいい感じになってきたな、えっと次は、砂糖と牛乳を加えるのかー。あ、そうだ、砂糖を牛乳に溶かしてから加えれば、きっと均一に混ざってうまくいくに違いない、我ながら名案と思って、砂糖を牛乳に溶かし始めました。ところが、50gの砂糖が冷たい牛乳(150cc)に溶けるわけがありません。しかたなく、ほとんど溶けないままの砂糖が残った牛乳を生地に加えたところ、砂糖のかたまりが、どてっと一カ所に落ちてしまいました。そのあと生地を一生懸命こねたものの、焼きあがりを試食してみると、案の定、砂糖が十分混ざりきらなかったようで、ほとんど甘さを感じないスコーンや、とっても甘いスコーンができあがってしまいました。


 研究所には、ちゃんと砂糖と牛乳を別々に加えて改めて作り直したのを持っていって、事なきを得ました。お菓子作りの道は奥が深いなーと感じる今日この頃です。  



2002年3月2日